「子どもがいなければ、すぐに離婚するんです。」
「私さえ我慢すればいいと思っていました。」
「子どもを一人で育てるお金がありません。」
「離婚したら、塾に通わせることができません。」
「子どもの進学を考えると、離婚なんてできません。」
「結局、主人がいないと私一人では何もできないということですよね。」
私は23年間、多くのご相談者様と向き合ってきました。
このような言葉を、本当に数え切れないほど聞いてきました。
そして、そのたびに感じることがあります。
それは、
子どものことを本気で考えているからこそ、答えが出せなくなる。
ということです。
「子どものため。」
その言葉は決して言い訳ではありません。
親として、子どもの将来を真剣に考えているからこそ、離婚という決断を簡単にはできないのです。
だから、
「離婚できない私は弱い。」
「決断できない私はダメなんだ。」
そんなふうに、ご自身を責めないでください。
悩み続けていること自体が、お子さんを大切に思っている証拠なのです。
子どものために離婚しない。その選択も間違いではありません
両親がそろって笑顔でいられる家庭。
それが、お子さんにとって一番幸せな家庭だと、私も思っています。
ですが、現実には、それが難しいご家庭もあります。
毎日のように喧嘩が続く。
家の中に笑顔がない。
会話もなく、お互いを避けるような生活が続いている。
そのような環境で、
「子どものためだから。」
と、ご自身だけが我慢を続けることが、本当に家族の幸せにつながるのでしょうか。
私は、何度も考えさせられてきました。
だから私は、最初にこうお伝えしています。
「離婚することが正しいわけでもありません。修復することが正しいわけでもありません。」
「どちらが、ご自身で納得できる人生なのかを、一緒に考えていきましょう。」
行政の支援。
ご家族の協力。
利用できる制度。
今は、以前よりも様々な選択肢があります。
最初から、
「無理。」
「できない。」
と決めつける必要はありません。
もちろん、修復という道を選ぶ方もいらっしゃいます。
その選択も、決して間違いではありません。
大切なのは、
「私さえ我慢すればいい。」
そう思い続けないことです。
以前、ご相談者様がこんなお話をしてくださいました。
「子どもから、『泣いているママ、辛そうな顔をしているママより、笑っているママが好き。』と言われたんです。」
お子さんは、小さくてもお母さんの表情をよく見ています。
「子どものため」と思って続けてきた我慢が、実はお子さんにも伝わり、悲しい思いをさせてしまうこともあります。
だからこそ、
ご自身の幸せを考えることは、決してわがままではありません。
それは、お子さんの幸せについて考えることでもあるのです。

「できない」ではなく「準備する」という選択もあります
以前、ご相談に来られた奥様のお話です。
ご主人は外資系企業に勤務されており、浮気が発覚しました。
奥様は専業主婦。
大学生と高校生のお子さんがいらっしゃいました。
一番の不安は、やはり経済的なことでした。
ご両親はすでに他界され、頼れるご親族もほとんどいません。
お姉様は海外で暮らしており、すぐに助けてもらえる状況でもありませんでした。
結婚後に多少パートをされた経験はあったものの、ご家族を支えていけるほどの収入を得られる仕事ではありませんでした。
そのため、
「子どものために我慢するしかない。」
一度はそう諦めようとされたそうです。
ですが、ある時ふと気付かれたそうです。
苦しい思いをしているのは、ご自身だけではありませんでした。
ご主人は「出張」という理由で帰宅しない日が増え、家庭の空気は少しずつ変わっていきました。
そして、お子さんたちも、その居心地の悪さを感じていたのです。
そんなある日。
普段何気なく利用していた路線バスの車内で、一枚の募集広告が目に入りました。
「乗務員募集」
その瞬間、
「ダメでもともと。一度挑戦してみよう。」
そう思われたそうです。
すぐに教習所へ通い、大型二種免許を取得。
東京都内のバス会社への就職を目指し、新しい人生への準備を始められました。
長男の卒業と就職の見通しが立ち、次男の学費についても、ご主人の収入などを踏まえて生活設計ができることを確認したうえで、奥様はお子さんたちへ静かに話をされました。
「お母さんは家を出ようと思っています。」
「バスの運転手として働こうと思っています。」
「でも、この家はあなたたちの家だから、お父さんとここに残ってもいいんだよ。」
すると、お子さんたちは迷うことなく、
「三人で協力して頑張ろう。」
そう答えられたそうです。
その後、奥様はバス会社へ就職されました。
男性の多い職場ということもあり、最初は不安もあったそうです。
それでも、
「お客様から直接『ありがとう』と言っていただける仕事だから、とてもやりがいがあります。」
そう笑顔で話してくださいました。
生活は以前より少し小さな家になりました。
長男は就職を機に東京を離れ、普段は次男とお二人での生活になりました。
それでも、
「今は本当に楽しく暮らしています。」
そして最後に、
「あの時、思い切って良かったです。」
そう話してくださったことが、今でも私の心に残っています。

このお話を通してお伝えしたいのは、離婚を勧めたいということではありません。
「できない」と諦める前に、「できる方法」を一緒に考えましょうということです。
修復という選択も、前回のコラムでお伝えしたように、決して簡単なことではありません。
離婚という選択も同じです。
どちらにも悩みがあり、覚悟が必要です。
だからこそ、焦って答えを出すのではなく、必要な情報を集め、ご自身が納得したうえで選ぶことが何より大切だと、私は思っています。
まとめ|あなたの我慢の上に、本当の家族の幸せはありません
「子どものためだから。」
そう思って我慢を続けている方は、本当にたくさんいらっしゃいます。
そのお気持ちは、とてもよく分かります。
ですが、忘れないでいただきたいことがあります。
あなたの我慢の上に、本当の家族の幸せはありません。
離婚すること。
修復すること。
どちらが正しいということではありません。
大切なのは、ご自身が納得したうえで選ぶことです。
そして、その選択が、お子さんにとっても安心できる家庭につながっていくのではないでしょうか。
一人で答えを出す必要はありません。
一緒に整理し、一緒に考えながら、ご自身とご家族にとって最善の道を見つけていきましょう。
あなたが笑顔でいることも、お子様にとって大切な幸せの一つですよね。
よくあるご質問(Q&A)
Q. 子どものためを考えると、離婚に踏み切れません。
そのお気持ちは自然なことです。焦って結論を出す必要はありません。修復という道も、離婚という道もあります。大切なのは、必要な情報を集め、ご自身が納得した選択をすることです。
Q. 経済的な不安が大きく、離婚後の生活が心配です。
同じ悩みを抱える方は多くいらっしゃいます。行政の支援制度や資格取得、就職など、今できる準備を一つずつ進めることで選択肢は広がります。一人で抱え込まず、専門家へ相談することも大切です。


