後悔しないために知っておきたい考え方
「離婚はしたいけど、無理なんです。どうしたら良いですか。」
このようなご相談は、23年間、探偵業界でカウンセラーとして多くのご相談を受けてきた中で、何度も耳にしてきた言葉です。
浮気が発覚し、夫婦関係はすでに壊れている。
中にはDVを受け、心身ともに疲れ切り、「どう考えたらいいのか分からない」「何をすればいいのか分からない」と、思考力さえ奪われてしまっている方も少なくありません。
そんな状況の中で、多くの方が悩まれるのが、
「離婚するかまだ決めていないのに、証拠を取る意味はあるのでしょうか。」
ということです。
私はいつもお伝えしています。
証拠は、離婚するためだけに取るものではありません。
もちろん、不貞の証拠があれば慰謝料請求や離婚を有利に進められる可能性があります。
しかし、それだけではありません。
証拠があることで、離婚を拒否するという選択肢も、ご自身の意思で選べるようになります。
つまり、離婚するのか、しないのか。
離婚するとしても、その条件やタイミングを自分自身で考え、選択できる立場に立てるということです。
不貞という夫婦における重大な裏切りがあった以上、その後の人生をどう選ぶかは、本来ご相談者様が決めることです。
そして私は、法的な権利以上に大切な意味があると思っています。
それは、
事実を知り、自分がこれからどう生きていくのかを考えることです。
離婚したくても、すぐには離婚できない事情があります
「離婚したい」、でも現実にはすぐ離婚できない方がたくさんいらっしゃいます。
例えば、
・子どもの進学を優先したい
・病気や障害のあるお子さんを支えなければならない
・ご自身が病気で働くことが難しい
・住宅ローンが残っている
・自営業や会社経営の問題がある
・パートナーの会社の連帯保証人になっている
・経済的に生活の見通しが立たない
など、その理由は本当に人それぞれです。
つまり、
「離婚したい」と「今すぐ離婚できる」は、まったく別の問題なのです。
だからこそ、離婚するか決められない段階でも、証拠を取る意味がなくなるわけではありません。
不貞関係が続いていても、いつでも証拠が取れるわけではありません

「まだ浮気は続いているようだから、必要になったら調査すればいい。」
そう考える方もいらっしゃいます。
しかし、実際はそう単純ではありません。
23年間この仕事をしていて強く感じるのは、
不貞関係が続いていることと、証拠が取れることはイコールではない。
ということです。
離婚を決意した人は、慰謝料を支払いたくないという気持ちから、それまで以上に慎重になります。
警戒心が強くなり、不貞の証拠を残さないよう行動するケースは珍しくありません。
実際に私が担当したケースでは、不貞相手とは会い続けているにもかかわらず、不貞行為だけを徹底的に避け、半年以上証拠が取れなかったこともありました。
「浮気は続いているから大丈夫。」
そう思っていても、必要になった時には証拠を残さない関係へ変わってしまうこともあるのです。
離婚だけではありません。修復を考える方にも証拠には意味があります
証拠を取る意味は、慰謝料請求だけではありません。
一番大きな意味は、
事実が分かることで、これから何をすべきかを具体的に考えられるようになることです。
浮気は本当だったのか。
いつ頃からだったのか。
継続しているのか。
どの程度の関係なのか。
事実が分かれば、
・修復を目指すのか
・離婚を考えるのか
・今は準備を進めるべきなのか
という選択肢を冷静に整理することができます。
実際に、
「事実が分かったことで、不安の半分が消えました。」
と話されたご相談者様もいらっしゃいました。
事実が分からないままでは、人は様々な想像や不安に振り回されてしまいます。
だからこそ、「分かった」という事実だけでも心が軽くなる方は少なくありません。
私は、その方にこうお伝えしました。
「離婚はいつでもできます。まず修復してみて、それでも難しいと思った時に改めて考えても遅くありません。」
離婚は、一度成立すると簡単には元に戻せません。
一方で修復は、ご自身が納得するまで努力することができます。
修復を続けた結果、「やはり難しい」と結論が出たのであれば、その時の離婚は後悔の少ない選択になるはずです。
事実を知ることは、すぐ離婚を決断するためではありません。
後悔しない選択をするための土台になるのです。
【実例】証拠があったから有利なタイミングで離婚を進めることができたケース
ご相談者様は長年DVを受けていました。
夫婦関係はすでに冷え切り、離婚したい気持ちは固まっていました。
しかし、
「離婚はしたいけど、無理なんです。どうしたら良いですか。」
そうおっしゃって相談に来られました。
理由は、ご主人が経営する会社の連帯保証人になっていたからです。
離婚を急げば、ご自身に大きな不利益が生じる可能性がありました。
そこで、まず不貞の証拠を確保しました。
しかし、その証拠をすぐに使ったわけではありません。
DVによる怪我をきっかけに弁護士へ相談し、まずは別居を開始しました。
その後も仕事上の関係は続いていたため、会計士や弁護士とも連携しながら、会社の負債や連帯保証人の変更について約2年かけて計画的に準備を進めました。
そして、離婚後の生活や会社への影響も含めた準備が整った段階で、初めて離婚手続きを開始しました。
このケースで改めて感じたのは、
証拠は「今すぐ離婚するため」のものではない。
ということです。
証拠があったからこそ、焦って不利な条件で離婚することなく、ご自身にとって最も良いタイミングを選ぶことができたのです。
問題解決の第一歩は、事実を受け入れることです

私は23年間、多くのご相談者様と向き合ってきました。
その中で確信していることがあります。
問題解決の第一歩は、事実を受け入れることからしか始まりません。
事実を受け入れることができて初めて、
「自分はこれからどうしたいのか。」
を考えることができます。
離婚する。
修復する。
しばらく様子を見る。
どの選択にも正解・不正解はありません。
大切なのは、思い込みや不安だけで判断するのではなく、事実を知った上で、自分自身が納得できる答えを出すことです。
以前、ご相談者様からこんな言葉をいただいたことがあります。
「若林さんに気持ちを吐き出したことで、冷静に考えることができたことが一番良かったです。」
私は、この言葉を今でも忘れることができません。
私たちは調査をすることだけを目的とは考えていません。
ご相談者様が気持ちを整理し、ご自身で納得できる答えを見つけるために、本当に調査が必要なのか、それとも今は別の方法を考えるべきなのか、一緒に考えることも私たちの大切な役割です。


